産業廃棄物の処理業を始める場合、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律。俗に廃棄物処理法とも呼ばれる)の理解が必要不可欠です。
産業廃棄物は保管から運搬、処理まですべてに注意の必要な不要物なので、法的に問題のある状態では刑事処分、行政処分といった大きな処罰を課せられることになってしまいます。

そこで、この記事では産業廃棄物処理業の基本、「廃掃法」の要点を簡単にまとめました。

要点1.廃棄物の定義は20種類に区別されている

産業廃棄物処理業を行うにあたって、もっとも避けなければならないのが「産業廃棄物の取り扱いを間違う」ことです。
産業廃棄物として処理すべきものを一般廃棄物として処理したり、逆に一般廃棄物として処理すべきものを産業廃棄物として処理したりすると、懲役刑や億単位の罰金を課せられる場合もあります。

廃掃法は全34条、附則等を合わせれば100以上の条文を持つ内容の難しい法律なので、すべて理解しきるのは難しいですが、20種類に区別されている産業廃棄物の定義については、必ず事前に押さえておきましょう。

なお、業種や処分量等によって、産業廃棄物になるものとならないものなどもあります。裁判の判例などが参考になるケースも多いため、日頃から法律の条文だけでなく産業廃棄物関連の裁判結果にも注目しておきましょう。

要点2. 最大5年以下の懲役もある排出事業者・処理業者それぞれの責任について

産業廃棄物の処理は、産業廃棄物を出す業者側も、それを処理する業者側もそれぞれ責任を持って対応することを義務付けられています。処理業者側の立場として非常に重要なのが、排出事業者と委託契約を結ぶ際に交わす許可証・マニフェストの扱いです。事務所の移転や許可証の期限切れ等、内容に問題のある書類をそのままにしておくと、最大で5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金刑に課せられる可能性もあります。

法律違反をしたとき、「慣れている取引相手だから細かいチェックは必要ないと思った」は通用しません。産業廃棄物の排出事業者側が手続きに慣れていない可能性を考えて、処理業者側で最低限書類関連の知識や様式をまとめておくとよいでしょう。

要点3.罰則は法人のみならず業務担当者にも適応される

産業廃棄物は、処理を間違えると自然環境や周辺住民の生活、健康にも悪影響を与えかねない廃棄物です。それだけに、無免許での営業やマニフェストの不交付、不法投棄など、廃掃法には数多くの罰則規定があります。

廃掃法には法人だけでなく各業務の担当者・責任者にも罰を与える「両罰規定」があるため、不祥事を起こさないようにしましょう。

要点4.法律の改正について

廃掃法は、1970年にできた歴史の古い法律です。しかし、産業廃棄物は技術の発展等によって増えたり減ったりするため時代とともに改正が続けられており、2017年にも改正されています。創業当時の法令だけを守っていると、法改正後に法令違反となり、処罰される可能性があるので、1年に1回は廃掃法の法改正についてチェックするようにしましょう。

複雑な法律の解説と理解はプロに任せよう

法律の素人が産業廃棄物の実務をしながら、複雑で改正も行われる廃掃法をすべて理解するのは困難です。許可の取得、法令遵守に問題がないかのチェック等、難しい部分に関しては、当事務所を始めとした法律のプロにお任せください。