2012年以降爆発的に増加している「太陽光発電」の太陽光パネルにも、当然寿命があり、約20年後には廃棄物になるといわれています。太陽光発電はその手軽さゆえに多くの企業や個人宅で導入されていますが、廃棄方法は普通のゴミとは違うため、産廃業者としてはしっかり覚えておかなければなりません。
今回は、そんな太陽光パネルの廃棄方法について解説します。
太陽光パネルの廃棄方法は原則「産業廃棄物」として処理
一般的に太陽光パネルは「産業廃棄物」として処理されます。
ただ、企業や大学に導入されている太陽光パネルとは違い、家庭の太陽光パネルの場合は家主が勝手に取り外すことも可能です。そのため、家主が勝手に処理をしてしまう可能性があります。
太陽光パネルは、撤去時にも発電していることがあるので、最悪の場合感電や漏電のリスクがあり危険です。廃棄するときは必ず専門業者が行わなければなりません。
・破損し床に落ちている場合は「一般廃棄物」となる
災害や事故で太陽光パネルや発電設備が床に落ちている状態の場合は、取り外す工程が要りません。つまり床に落ちている発電設備や太陽光パネルは、「一般廃棄物」として個人で処理する責任が生じるのです。
ただ、それを知らずに産廃業者に連絡をしてくる人もいるでしょう。引き取りやリサイクルの連絡を受けた場合は、まず太陽光パネルや発電設備が落下していないかを確認するようにしてください。
太陽光発電固定価格買取制度(FIT)は再生可能エネルギー発電の普及に向けて作られた制度
経済産業省資源エネルギー庁の公式ホームページによると、固定価格買取制度は以下のようなものであると示されています。
“「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。電力会社が買い取る費用の一部を電気をご利用の皆様から賦課金という形で集め、今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支えていきます”
引用元:経済産業省資源エネルギー庁/固定価格買取制度
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html
対象となるのは太陽光発電のほかに「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」の4つも含まれています。原子力発電問題の解決が不透明な昨今では、新しい発電能力の普及は不可欠です。中でも比較的取り入れやすいのが太陽光パネルを利用した太陽光発電といわれており、今後ますます普及すると考えられています。
また、このFITは20年間の売電収入で廃棄等費用を賄える仕組みにもなっています。つまりこの買取制度は、廃棄までの費用を賄い、設置後の負担を減らすことをメリットにし、再生可能エネルギー発電を促進させる制度といえます。
太陽光パネルのリサイクル技術は進化しつつある
太陽光パネルは、ガラスやアルミなどのリサイクル可能な材料でできているのにも関わらず、複雑な構造や有害物質を使用しているという点で、リサイクルが大変困難であるといわれていました。しかし、近年はリサイクル技術の進歩にともない、太陽光パネルのリサイクル部位と廃棄部位の分離が容易になりつつあります。
もし太陽光パネルがリサイクルできるようになれば、大量廃棄問題も解決に向かい、約20年後に問題になるといわれている不法廃棄による汚染問題も、重大なものではなくなる可能性も考えられます。
太陽光パネルの廃棄方法を理解し適切なリサイクル方法を準備していく
太陽光パネルによる環境問題が起こるのは約20年後といわれており、そう遠くありません。近年、廃棄方法やリサイクル方法について議論が重ねられ、改善してきたとはいえ課題はまだ山積みです。今後ますます普及するといわれているからこそ、産廃事業側も正しい廃棄方法を理解し、適切なリサイクル方法の準備をしていくべきでしょう。