産業廃棄物の仮置きは、一時的に保管しているだけだからと安易に考えるのは危険です。たとえ短期間の保管だったとしても、廃棄物処理法における不法投棄とみなされてしまうことがあります。また、義務付けられているにも関わらず届出を行っていなければ、届出義務の違反で罰則を受けることもあるので注意が必要です。
産業廃棄物の「仮置き」は廃棄物処理法の概念ではない
産業廃棄物について「仮置き」という言い方をする方がいますが、廃棄物処理法に仮置きという概念はありません。「一時保管」についても同様です。
廃棄物処理法は、2010年に法改正が行われましたが、実はこのような「仮置き」や「一時保管」という表現を用いて、大量に産業廃棄物が保管されている問題を解決しなければならなかったという背景があります。
つまり、従前どおりに「仮置き」という軽い気持ちで産業廃棄物を保管していると、法令違反となって罰則を受ける可能性があります。
仮置きが違法になるのは廃棄物保管場所の事前届出義務があるから
2010年に行われた廃棄物処理法の改正では、新たに廃棄物保管場所の事前届出」の義務が明文化されました。具体的には、廃棄物処理法第12条3項で「産業廃棄物の保管を行おうとするときは、あらかじめ、都道府県知事に届け出なければならない」としています。仮置きするだけという認識であったとしても廃棄物処理法第12条3項に該当する場合は、都道府県知事に事前に届出していないといけないということです。
もし、仮置きが廃棄物処理法に違反していると判断されると、「6月以下の懲役、または50万円以下の罰金」という罰則を受けてしまう恐れがあります。
事前届出が必要になる4つの要件
仮置きで都道府県知事への事前届出が必要になるのは、次の4つの要件をすべて満たしている場合です。
(1)建設関係の産業廃棄物であること
(2)産業廃棄物が排出された場所以外で保管しようとしている
(3)産業廃棄物を排出した事業者が保管する
(4)保管する土地の面積が300㎡以上ある
これらの4つのすべてに該当する場合は、都道府県知事に届け出てからでなければ産業廃棄物の保管が出来ません。すでに仮置きとして保管してしまっている場合や上記の4つの要件を満たす場合は、専門家のアドバイスを受けて必要な届出をしないといけません。
災害による仮置きは例外的に事後の届出が認められる
自然災害により止むを得ず産業廃棄物を一時的に保管しなければならないような時は、保管を開始した日から14日以内に都道府県知事に届出する事になっています。
自然災害の場合は、事後の届出も認められますが、届出を怠ると20万円以下の過料の罰則がある点には気を付けるようにして下さい。
自治体による規制にも注意する
産業廃棄物に関する規制は、廃棄物処理法だけではありません。都道府県や市区町村が個別に条例で規制している場合もあり、条例違反にならないように気を付ける必要があります。
産業廃棄物の保管場所や届出について不明な点がある時は、制度や手続きに詳しい専門家にアドバイスしてもらいましょう。