廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)により、産業廃棄物は、事業者自らの責任で処理をするか、都道府県知事等が許可をした産業廃棄物処理業者へ処理を委託しなければなりません。しかし、産廃業の許可を得るためには、いくつもの条件を満たす必要があり、許可の申請も複雑な手続きが必要となります。

■産業廃棄物とは?

事業活動によって生じた廃棄物は、産業廃棄物と一般廃棄物に分類されています。
産業廃棄物は、ビルの建設工事や製品を生産する際に生じた廃棄物などで、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類などの20種類が指定されています。
産業廃棄物以外の厨芥類(茶ガラ、生ゴミ)、木くず、紙くずなどは、一般廃棄物に分類されていて、さらに、爆発性や毒性、感染性など、人の健康や生活環境に被害が生ずるおそれのある廃棄物は、特別管理産業廃棄物、特別管理一般廃棄物として、通常の廃棄物よりも厳しい規制が設けられています。
こうした産業廃棄物を処理するのが産業廃棄物処理業者ですが、産業廃棄物を処理する基準などが、きめ細かく定められています。

■産廃収集運搬業許可が必要なわけは?

廃棄物処理法は、ゴミの排出をできるだけ抑えるとともに、リサイクルで再利用するなど、環境にやさしい社会を目指すための法律ですが、残念ながら、産業廃棄物の不法投棄は一向になくなりません。
ピーク時(平成10年代前半)に比べると、大幅に減少してはいますが、平成28年度は年間131件、総量2.7万トン(5,000トン以上の大規模事案1件、0.7万トン含む)もの悪質な不法投棄が発覚しています。
不適正処理についても、平成28年度で年間132件、総量7.5万トン(5,000トン以上の大規模事案3件、計2.6万トン含む)が新たに発覚しています。
こうした、環境破壊につながる産業廃棄物不法投棄を根絶するために、産業廃棄物を処理するための厳格な基準が設けられています。

たとえば、収集運搬業については飛散や流出、悪臭防止の設備を備えていなければならず、積替施設を有する場合には、飛散・流出および地下に浸透し、ならびに悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設でなければなりません。
また処分業においては、廃棄物の処分に適した処理施設を有するという基準があります。
さらに、収集運搬・処分を的確に行うための知識や技能に加え、的確に、継続して行うための経理的基礎を有するという、厳しい基準も満たす必要があります。
しかも、産廃業者は、一度許可を受けたからといって安心することはできません。
法令改正などにも対応していかなければ、指導や検査、または行政処分を受けてしまうなど、廃棄物処理は規制と罰則が厳しい業界といえます。