非常に有毒性が高く、人体に有害な物質であるという理由で、産業廃棄物として処理することを決められているPCB廃棄物。PCB廃棄物が自社内にある場合、一定期限までにすべてのPCB廃棄物を処理しないと、自社で処理することになってしまいます。当然、産業廃棄物処理業者の負担する責任も重い廃棄物のひとつです。

この記事では、そもそもPCB廃棄物とは何なのかを始め、PCB廃棄物の取扱いに関する重要点をお伝えしていきます。

PCB廃棄物とはポリ塩化ビフェニルを用いた廃棄物

PCBというのは、「Poly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)」の頭文字を取った略称です。水にも熱にも強く絶縁性もある便利な素材として、業務用蛍光灯や水銀灯などの照明器具をはじめとした多くの製品に使われました。

ただし、PCBには人体に対して非常に有害なダイオキシンなどの化学物質を発生させるものもあります。さらに、燃えづらい性質などのせいで、処分も難しいことがわかったため、PCB製品の製造・輸入を禁止した上で、一定期間までにPCB廃棄物を処理するべしというルールが作られたのです。

・PCB廃棄物の種類は理論上209種類

PCBという名称自体は、あくまでも「ポリ塩化ビフェニル化合物」という物質全体の名前。コーティングされた塩素や分子の状態によって、理論上は209種類に分類できるとされています。

そのなかでも、とくに危険性が高いといわれているのが、「コプラナー」というPCBです。

・PCBの廃棄に関しては2001年のPCB特別措置法によって定められている

PCB廃棄物に関連する法律は、基本的に環境省が作成しています。一時的に利用されていた危険度の高い廃棄物なので、2001年に作られたPCB特別措置法(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法)で、特別管理産業廃棄物に指定されているのです。

産業廃棄物処理の世界では、このように技術革新やその後の研究によって産業廃棄物入りするものも少なくありません。事業を行う場合は、つねに情報収集を心がけましょう。

処理期限がある!?PCB廃棄物の取扱いに関する重要点3つ
人体や地球環境に悪影響を及ぼすPCB廃棄物ですが、その取扱には押さえるべき3つの重要なポイントがあります。

 

・排出事業者自身か処理業者が産業廃棄物として処理を行うこと

PCB廃棄物の取扱いについて、まず押さえておきたい重要点が処理方法です。PCB廃棄物は特別管理産業廃棄物、要するに一般廃棄物のように処分してはいけません。

原則廃棄物を所有している事業者か、その事業者から委託を受けた産業廃棄物処理業者が責任をもって運搬し、「JESCO」という団体が管轄している全国5つの指定処理施設で処分する必要があります。

・処理期限が決められている

環境省が2001年に作ったPCB特別措置法では、もともと2016年の7月までにPCB廃棄物を処理することと期限を設けていました。しかし、2012年に一部法律が改正され、PCBの処理期限は最大で2027の3月31日までに延長されています。

ただし、PCB廃棄物の処理ができる施設は、前述の通り全国に5箇所しかありません。自治体によっては処理の受付期限を2027年よりずっと前に設定しているところもあるため、PCB廃棄物はなるべく早く処理する必要があります。

PCB廃棄物の収集や処理については、環境省が公表しているガイドラインを参照しましょう。通常の産業廃棄物とは扱いが違うため、慎重な取扱いが必要です。

細心の注意を払ってPCB廃棄物を処理しよう

PCB廃棄物を処理期限までに処理できない場合、事業者は自分でPCB廃棄物を処理することになります。資金的にも時間的にもけっして簡単なことではないため、PCB廃棄物の取扱いをする場合はとにかく早め早めに動きましょう。