近年はごみ・不要品のリサイクルやリユース、減量化が推進されており、産業廃棄物処理においてももちろんそれらは積極的に実施されていますが、どうしてもいくらかの廃棄物は残ってしまいます。それらを処分するための施設となるのが、最終処分場です。
産業廃棄物の最終処分場には、「安定型」「管理型」「遮断型」の3つのタイプがあります。
それぞれのタイプの特徴や役割などについて、ここでご説明します。
安定型処分場とは地下水を汚染しない廃棄物の処理場
安定型処分場とは、埋め立てタイプの最終処分場のひとつ。地下水を汚染することがないと言われている廃プラスチック類・金属くず・ガラス陶磁器くず・ゴムくず・がれき類などの処分に使われます。
本当に地下水の汚染がないかどうかを確認するためモニタリングは必要ですが「地下にしみ出さないように遮水シートを使用しなければならない」などといった制限はありません。
この安定型処分場は最終処分場の中でもっとも多いタイプで、公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センターによると、全国の最終処分場1,880件のうち安定型処分場が1,120件で、割合にして約60%を占めています。[注1]
[注1] 産業廃棄物処理の現状 | 学ぼう産廃 産廃知識 | 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
http://www.jwnet.or.jp/waste/knowledge/genjou.html
管理型処分場には浸出水処理施設の設置も必要
管理型処分場も安定型処分場と同じく埋め立てタイプの処分場となりますが、安定型処分場との大きな違いは「低濃度の有害物質や汚濁物質などを埋め立てるため、その影響が地下水に及ばないための工夫をしなければいけない」ということです。
そのため、地下水の水質試験やモニタリングが必要なだけでなく、遮水シートの使用や処分場から発生する浸出水を処理するための浸出水処理施設の設置も必要となります。
この管理型処分場の数は全国で736件、割合にして約39%となっています。
遮断型処分場とは重金属や有害な化学物質を基準以上含む産廃物の処分場
遮断型処分場とはその名のとおり、埋め立てタイプではなく遮断タイプの処分場です。
ここで処分されるのは、重金属や有害な化学物質などが基準を超えて含まれている産業廃棄物で「いずれ無害化する」というものではありません。
そのため、コンクリートで周囲を覆うなどして有害物質が漏れ出さないよう、長期・無期限にわたって厳重に管理する必要があります。
正確に言えば、この遮断型処分場における産業廃棄物の扱いは「処分」というよりも「保管」の意味合いに近く、将来の技術発展によって遮断型処分場に保管されている有害産業廃棄物が本当の意味で最終処分できるようになることが期待されています。
こうした遮断型処分場の数は全国でたったの24件で、その割合は1%少々しかありません。
産業廃棄物の最終処分場は安定型・管理型・遮断型の順に有害度があがる
産業廃棄物の最終処分場は、「安定型」「管理型」「遮断型」の3つのタイプに分類され、処分される産業廃棄物の有害度は「安定型<管理型<遮断型」となります。
安全性の高い産業廃棄物を埋め立てるのが安定型処分場で、有害物質などが比較的低濃度の産業廃棄物を一定の管理をしつつ埋め立てるのが管理型処分場。
そして、有害度の高い産業廃棄物を周囲から長期・無期限に遮断する形で保管するのが遮断型処分場、ということになります。