化学物質や化学物質を含む混合物の提供や譲渡などのやり取りをする際に使われる文書として挙げられるのが、SDSです。
産廃業者がこのSDSについての制度を知っておく必要とその理由について解説します。
SDSの意味と意義は化学物質の危険性を譲渡相手に伝えるため
SDSとは、Safety Data Sheet=安全データシートの略で、化学物質や化学物質を含む混合物を提供や譲渡する際、その化学物質についての情報を相手方に知らせるための文書です。
SDSに記されている内容としては、「この化学物質の名称はこれで、こうした性質、危険性、有害性を持っている」「もし、ばく露した場合はこういう応急処置をする必要がある」「取扱方法、保管方法、廃棄方法などはこうなっている」といったものが記されています。
こうした内容が盛り込まれているSDSは、化学物質を取り扱う労働現場などにおいて、化学物質を適切に管理するために必要不可欠な存在です。
化学物質のなかには、火災や爆発といった危険を孕んでいるものもあります。このような危険も、SDSに記すことで、事前にリスク回避できるのです。これらは災害時において、危険な物質であるかどうかの情報源ともなります。
労働現場の安全性を高めるために、日本では労働安全衛生法において、平成12年4月からこのSDSの提供が義務化されました。
産廃業者がSDS制度のことを知っておくべき理由
化学物質の提供や譲渡などの取り扱いにおいて、労働現場などではSDSの提供が義務づけられていますが、産廃業者に処理を依頼する「廃棄物」は、製品ではないという定義になっており、SDSの対象となる指定化学物質等(指定化学物質+それを含有する製品)とは見なされません。
したがって、産廃業者にSDSを提供する必要はないということになります。
これだけを見ると、産廃業者にSDSの提供がなされないのであれば、SDS制度のことを知る必要もない気がしますが、有害物質が混入している産業廃棄物を処理してもらうためには、WDS(Waste Data Sheet=廃棄物データシート)というものが必要になります。
ただし、単品の薬品など、その産業廃棄物の成分などが明確な場合は「SDSとその他の必要な情報を組み合わせたものを提供すれば、WDSの代わりとして使える」というケースもありますので、こうしたものを受け入れる産廃業者側もSDS制度についての知識を持っておくことは大切なのです。
SDSについての考え方
SDS(安全データシート)は化学物質や化学物質を含む混合物の性質などを知るために大切な存在です。
産業業者による産業廃棄物の処理においてはWDS(廃棄物データシート)が使われることが多いですが、SDSおよびその他の情報がWDSの代用として提供されるケースもあるため、産廃業者もSDS制度について知っておくことが大切です。